2006年 09月 13日
太陽 The SUN
b0075027_1481189.jpg以前このブログでもお薦めしていた町山智宏さんのブログでその存在を知り、ずっと見たいと思っていた映画「太陽 The SUN」を観に行って来た。

8月5日から銀座のシネパトス単館での上映が始まり、8月忙しかった私はもう観られないかもと腹をくくっていた。しかしこの映画は大人気で、どんどん上映館を増やしながら今に至っている。おかげで私も観ることが出来た。
私が見に行ったのは吉祥寺のバウスシアターという50人ほどしか入れないミニシアターでしたが、レディースデイなのも手伝ってか満員。万全の体勢で挑んだ私はベストポジションで鑑賞することが出来た。

さてこの映画の舞台は終戦直前の日本。昭和天皇ヒロヒトを「現人神」ではなく「人間」として描いている。天皇陛下役はイッセー尾形。皇后は桃井かおり。でも、邦画ではない。アレクサンドル・ソクーロフというロシア人の監督が撮った、ロシア映画なのだ。
町山さんのコラム(ラジオの方)によると、“天皇を人間として描く”ことは出演者に危険が及ぶ恐れがあるため、ロシアで極秘裏に撮影が行われたらしい。そういう情報を知らなければわからないくらい、日本にしか見えない。とても良くできている。

かなり彩度を抑えたモノクロに近い映像で、淡々と、静かに物語は進んでいく。
「現人神」でいなければいけない「人間」ヒロヒト。彼の孤独と苦悩。閉塞感。カラー映画だと気付くまでに少し時間がかかってしまった。
イッセー尾形演じる天皇陛下は本人のクセなども細かく再現していて、観ている内に本物に見えてくる。昭和天皇のプライベートな部分は誰も知るよしはないので、この映画のほとんどは想像に過ぎないはずなんだけど。このキャスティングとイッセー尾形の演技はお見事と言うしかない。

平成になってから既に18年、私の人生の中では今上天皇になってからのほうが長いはずなんだけど、どうしても「天皇陛下」というと昭和天皇の方が印象に残っている。
おそらく生まれて初めて「天皇」というものを意識したのは、昭和天皇が崩御された12歳の時。元号が変わったり、世の中が大騒ぎしていたのを覚えている。昭和天皇に関する知識なんてその程度。もちろん戦争も体験していない。

そんな何もわかってない私からしてみれば「日本では公開不可能」といわれるほどの問題がある映画だということが実感できない。「神様」が「人間」になるということの重大さも今一つピンと来ない。
内容が内容だけに、劇場には年配の方の姿も目立った。戦争を経験している父達が観たらどういう思いを抱くのだろう?
もちろん同じくらい若者もいた。私と同じ世代の人達はどういう思いを抱くのだろう?

終わり方があっけなくて、見終わったその時はとまどった。
でもパンフレットを読んだりネットで情報を集めたりして自分なりに理解した。
なるほど、そういうことですかい。

思わず買ってしまったパンフレット(1000円!高いよ!)には、なんとシナリオがついていた。映画を反芻しながら、じっくり読んでみよう。

単純に映画としても面白かったです。いろいろ考えさせられます。
戦時中が舞台の映画ではありますが戦争の悲惨さはほぼ描かれておらず、むしろ全体としてはほのぼの心温まる感じの映画です。
観ておいて損はないんじゃないかと思います。

<参考>
町山智宏さんのブログ
「太陽」を紹介していたTBSラジオ「ストリーム」のpodcast
※どちらもかなりネタバレしているのでご注意!
 私は知った上でも観たいと思う映画でしたが…。
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by knkngi | 2006-09-13 23:15 | みにいく


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